上達するまでの時間

こんにちは~、アーティストchiguです。

オートクチュール刺繍、手紡ぎ&手織りをしております。


年末にミニアコースティックギターを買い、ちょっとずつ練習している。

だらだらと長時間弾いている日もあれば短時間、基礎練習だけする日もある。

弦を押える指先は痛くならなくなった。それなりに慣れてきたんだな。

初めてギターを手にした約20年前とは環境がガラッと変わった。

何しろネット上にお役立ち情報が山ほどある。

講師をやっている方の親切な動画がYouTubeに溢れている。

まとまった記事もたくさんある。

以前だったら本を買わねばならなかったような基礎練習の冊子は、ネットでなんと無料配布されている。

メトロノームもチューナーもアプリでOK、コードがすぐ調べられるアプリもある。

更には弾きたい曲の歌詞もコードも提供しているサイトもある。

なんてこった。


というわけでギター再開の手始めは、本当にいやはやありがたい時代だわ・・・と驚き&感謝とともに。


特に無料で頂いた基礎練習集はとても役に立っていて、毎日少しずつ指を動かす練習をしていて、この地味な作業が案外楽しい。


子どものころはけっこう長いことピアノを習っていた。ピアノ、今も好きだよ。弾く機会ないけど。


ピアノに慣れている身としてはギターと言うのはものすご~く難しい楽器だ。

ドの鍵盤を一本の指で押せばドの音を出してくれるのがピアノだけれど

ギターは左手で正しい場所を押さえ、右手で正しい弦を弾かねばならない。

で、両手ともそれなりに出来ていないと良い音にはならない。

いや~、これってほんっとに難しい。なかなか上達しない。


子どものころ、ピアノの練習で決して乗り気になれなかったのは、基礎練習の「ハノン教本」だった。

おそらく多くの方が、この「ハノン」に関しては同じ感想をお持ちではないかと思う。

まあ、つまらないわけよね。

指の動かし方とか、難しくなってくるとちゃんと難しいし、

そのくせ曲として楽しく弾くようなメロディアスなものでもないし。

なのでその大切さが分かっていなかった私は、ハノンは二の次、のように感じていた。


ところがですよ。

ギターを再開してみると、それこそメロディアスでもなんでもない、なんだったらそう快適なサウンドとは言えない基礎練習が妙に楽しい。

なかなか上達しないのも含めて楽しくて、ひとつひとつの短い練習パターンを何度もやってみることにやけに情熱的になったりする。


今の私に分かるのは、この「下手くそな時間」というのもいずれ過ぎてしまうということ。

何事もそうだと思うけど、少しずつでも一生懸命取り組んだことって、ゼロが1になり、それが2になり3になり・・・と、気づかないうちに上達していく。

センスや相性によってそのスピードに差があるとしても。ゼロのままってことはない。

そして、一度ゼロから脱してしまうと、変な言い方だけれどゼロに戻ることはもうできない。


だからこの「下手くそタイム」はすごく貴重なのだ。下手くそでナンボなのだ。

その過程に楽しさがぎゅっと詰まってる。その楽しさは上手になってからのものとは質が違う。そのときそのときにしかない楽しさがある。

私が今、やけに基礎練習を楽しいと思うのはそんな理由なのかも知れない。

ゆっくりと鳴るメトロノームに合わせて音階を正しく昇ってまた降りてくる、それだけのことに四苦八苦する時間はいずれ過ぎてしまう(・・・と良いんですけど)。

たった今のおぼつかない一音一音を大切に思う。


こういうことはなかなか以前の自分には分からなかったろうな。

はやく上手になりたいって先のことばかり考えたろう。

大人になる、歳をとるって素敵だ。

・・・そうは言っても、やっぱり上手になって弾きたい曲たくさん弾きたいけどね、もちろん。

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