メンテナンスWeek、とりあえず終了①

こんにちは~、アーティストchiguです。

手織りのストールと手刺繍のブローチなどを制作販売しております。


ここのところしばらく話題にしていた「メンテナンスWeek」がいったん終了した。

 メンテナンスWeekのほかの記事はこちら↓



あちこちに(と言うほどの数ではないが)お直しに出していたものたちがみんな戻って来たのだ。

いちばん時間がかかったのは器の金継ぎでの修復で、

これは漆を使う以上、まあまあの時間がかかるものなのでそのつもりでのんびり待っていた。

戻って来た子はこちら。

欠けから伸びたヒビまで直した側


その逆側
小さなお皿です。朱漆で直して頂いた。






今はキットで簡単にできる「なんちゃって金継ぎ」もあってその方が当然コストはかからない。

でも調べてみると、漆とはまた違ったもののようだし、

一度それを使って剥がれたりすると、樹脂が残ってしまうので

その後本漆で直すことは出来ないということだった。


大事に思っているものだからな~、と言うことで、今回はプロの方に本漆で直して頂いた。


金継ぎと言うと金粉を使う方法がまず思い浮かぶけれど

今回は職人さんが器の雰囲気の合わせて「錫仕上げ」と「朱漆仕上げ」を提案して下さった。

金も雰囲気的にちょっと大げさだなあと思っていたところだったので、

そういう仕上げ方もあるんだ!とそちらでお願いしたのだった。


修理依頼をしたところは、職人さんとメールでやりとりする方とで役割分担していて、

間に入ってメールを送って下さるスタッフさんは終始とても丁寧なやり取りをしてくれた。

そういう心地良さから言っても、依頼先にも恵まれたと思う。


震災で欠けた古い器は実はもう一点あった。

それについては見積もりと自分の思い入れとを天秤にかけ申し訳ないけれどあきらめて処分した。

染付の小皿だった。


それを言い出すと写真の直してもらった黄色い龍の器はそもそも「オマケ」だったそうで

写真で見てもわかるくらい煤けていて、状態が良いとも言えない。

骨董で「珉平焼」を検索すると、同じもので骨董店で扱われているものがヒットする。

販売ルートにあるからには当然すごくきれいな状態で残ってきたもので、

我が家の「オマケちゃん」とはちと違う。

だから人によっては「こんなの修理するの?」ということになるかと思う。

価格的になんの価値も無いよ、と。


ここから先はもう個人的な思い入れの話になる。

オマケちゃんでも、私はどういうわけかこの煤けたお皿がとても気に入っていて

欠けたから処分しようという気持ちになれなかった。

もう一点の龍の蕎麦猪口も同様だ(こちらはもともと状態が良かったけれど)。


さらにそれを言い出してしまうと、そもそも一般家庭に存在するもので

市場価値的に、あるいはモノとしての価値的に、

世間で認められる価格価値のあるものなんて本当に少ない。

希少性、芸術性、作家の著名度、マニアのあいだのコアな価値観など、

そう言った一定の価値観のなかでよほどのものでないと、買いなおした方が早い安いの世界だ。

だからまあ、修理するかしないか?そこには個人の思う価値しかないよね。


その点で面白いしなんだか温かいなと思ったのが、

金継ぎ修理の依頼を受けている工房をいくつか調べ、「過去の修繕例」を見ると

その器の種類は本当に様々だということだった。

なんというか、それこそ「なんてことなく見えるふつーの器」がけっこう多い。

ミッフィーちゃんの平皿なんかもあって、きっと思い出のものなのかもね、と。


欠けてしまった器たち。

かと言って欠けたまま置いておくのも…。←大事にしているとはちょっと言えなかったかも。

かと言って捨てるのも…。

そんな状態で震災後ずっともやもやした思いと一緒に食器棚の奥に入っていた。

結果的に、やっぱり新しいきれいな姿で戻ってきてくれて嬉しい。

どうしても修理後は強度は落ちる、ということだったから

それぞれにふさわしい方法で、室内で堂々と活躍してもらおうと思う。


さて、この「買いなおす」とは別の「直す」という選択が私の中に芽生えたのは

このメンテナンスWeekが大掛かりに始まるよりもしばらく前のことだったのだ。

その話を次回、書きます。






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