こんにちは~、アーティストchiguです。
オートクチュール刺繍、手紡ぎ&手織りをしております。
最近は刺繍に気持ちが向かうので素直に従って刺繍ばかりしている。
その分、織機で途中になっているストールが中断されることになるけれど
「気持ちが向かう」が優先だ。
だって今それがいちばん出来ることってことだもんね。
ここで「いやいや、今はストールを仕上げてしまわないと」なんて考えると
せっかく刺繍が出来るエネルギーになっていると言うのに
わざわざそうではないことに力を割くことになる。
そんなの、いろいろもったいない。
そんなわけで刺繍です。
実は先にデザインを作ってみようかな、とか、下描きをしてみよう、なんて試してみたんだけれど
その時点でどうにも面白さを感じることが出来なかった。
まずは先にデザインを考えるという作業が面白くなく
そして考えてから刺したつもりが、結局まったく違うことになってしまう。
で、いつもの即興制作で進めている。
その場の感覚で次のひとさしが決まる。
だから相変わらず完成形は自分でも分かっていない。
これで良いんだろうか、と不安がよぎることはある。
はじめからデザインを決めておけば色々と効率が良くなるし、その分エネルギーの割き方も変わってくる。
今みたいなやり方ではいずれ壁にぶつかるかも知れない・・・
などなどの不安。
すぐに、そうしたくなったらそうすりゃいいや、と気づく。
何も今、そんなことで悩む必要は無い。
何らかの理由でもっと違う方向に行ってみたい、と感じた時にそうすればいい。
そのときはきっとその方法がうまくいくだろう。
今合っているやり方があるのなら、それで作りたい力を使った方がいい。
で、完成形が分からないまま進めていると
2点続けて作ったものは、どちらも妙に冬っぽくなった。
外はうんと暑くて蝉の声が窓を越えて聞こえてくるこの夏のなか、なのにねえ。
まあ夏に作ればやけにトロピカルなものが出来る、ってほど単純なこっちゃないということなのだろう。
たったひとり、自分と向き合ってせっせと刺しているそばから、出来上がってくる意外なものを他人事のように「へぇ~」と眺める、それも面白い。
そして並んだ素材同士が放つ思わぬ美しさに「ふぅ~」と気分が上がるのも、すごく良いのだ。