とうとうこの糸を使う日がやってきた

こんにちは~、アーティストchiguです。

手織り、手紡ぎ、刺繍を手掛けております。


昨日の夕方、公園に散歩に行った。

例によって退屈した白チワワのおちびの誘いで、だ。

たぶん、公園を流れる小さな川で、飛んでゆくカワセミの背中を見た。

一瞬だったから、たぶん。

でもあれはカワセミの色だと思う。


日頃、写真を撮るなら午前中が良いと思っているけれど

その気になればと言うかその目でいれば、いつだってきれいなものはある。

と言うわけで逆光で儚い百日紅の花。



アトリエではいつもより更に気合の入るプロジェクトが進行中。

かなり時間をかけて紡ぎためたカシミアをとうとう使う。

販売されているカシミア糸はだいたい細いものが多いから

自分で紡ぐものはかえって太くしている。


紡ぎを始めた頃は、売っているような均等で美しい糸を紡ぎたくて練習した。

織の先生には、紡いだ糸はちゃんと使って、

次にどんな糸を紡ぐかの参考にするのだと教わった。

だからはじめから、下手くそな、不均等でものすごく太くなったでこぼこ糸でも、織ってみた。

だんだん均等な糸も紡げるようになってきた頃、それらの糸でも織ってみた。

自分で驚いたことに、より均等な手紡ぎ糸で織ったものよりも

不揃いな手紡ぎ糸で織ったものに大きな魅力を感じた。

私は小ぎれいに整った作品が好きだと思っていたからこれは意外だった。


不揃いのどんなところが良いと思っているのだろう?

それから数点、手紡ぎ糸から作品を織ってみて、

私が手紡ぎ糸の作品で目指すところは、美しい工業製品糸での作品のそれとは全く違う

ということを自覚した。

手紡ぎ糸には揺らぎがあった方がここち良い。

ちょっと原始的な雰囲気があった方が風合いが良い。

私にこんな好みがあったのか。発見だった。


それで、今は細すぎず、揃わないことを問題にし過ぎない糸を紡ぐことにしている。

まあ、あまりにも不揃いだと織るときにいろいろと問題が出るから

限度ってものがあるけどね。


この糸を使うのには勇気が要った。

本当に時間をかけて紡いだ糸だったし、

かと言って使うとどんなようすになるのかは分からないから。


今のところ、織っていても気持ち良い柔らかなものが織れている。

表面はするすると滑らかで、手触りはとてもふわんふわんしている。

縮絨したら厚みが出るのだろう。それがどんな風になるのか。

はじめは緊張していたけれど、今は楽しみに織り進めている。

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