正直な話はさらに奥へ

こんにちは~、chiguです。

昨日あんな記事を書いてみて、書いたことで今日は動揺して過ごすかと思いきや、案外関係ないな。

ただ、読み返してみると書いている間は動揺していたことが誤字脱字に如実に表れてるな・・・記念に直さずにおこう、ふふふ。


昨日のテーマは、「人からもらったメールに書いてあったことが、なんでこんなに気になるのかな~」ってことだった。

そしてそんな個人的なことをわざわざ公開記事に書くことで、その件について自分に正直に向き合ってみるってことだった。

もう、相手なんてどうでもいい。

私がなぜ気にし続けるのか。

こんなこと人に知られなくない、でもその「したくない」ことをしてみたらどうだろうってチャレンジ。

その向こうに、答えはあるのか?!

あ、あったよ。あっさり。いやはや。

昨日ね、正直に書いてる、正直に書いてるって繰り返したけど、実は隠し事があった。

そうやって本当に言いたくなくて隠してることこそが、本当の黒幕だわな。

それを今からご説明します、ごほん。長いよ。


よくあることだけどさ、「言われて傷つくことって、自分が思ってることだから」ってやつね。

これだったよ。これさ、認めたくなかったからさ、無いかのように扱ってた。

私はさ、「自分の作品は器用な人なら誰でも作れるものなんじゃないか」っ怯えていることを、認めたくなかったのね。

自分の作っているものはたいしたものじゃないっていう恐怖。

他の誰かに出来ちゃったら困るんだよっていう焦り。

私、彫金を先にやってたのね。彫金てちょっとは特殊な技術っぽいところがある。ふつう、やらないでしょ。だから「へ~、彫金できるんだ、すごいね」みたいなの。

で、刺繍となると急に「お母さんの手仕事」みたいな雰囲気が漂う。お家で誰でも出来ちゃうよね~、みたいなの。


色と素材感が豊かな刺繍の世界は、私にぴったりだった。

とくに色を使えるってことが、「chiguさんは色づかいが素敵ね」って評価してもらえて、自分の持っている力を十分に発揮できた。

だから、それで良かったはずなのに。

なまじ彫金を先にやったから、刺繍は格下、って心のどこかでいつもうしろめたいところがあった。なんか、安易な世界に逃げ込んだようなうしろめたさ。

「友人」は、なにかとそれを刺激するようなことを言ってきた。気を使った言葉づかいで。

せっかく刺繍ジュエリーで自分の世界と出会えたと思って楽しくて、でも「たいしたことしてない」っていう不安と焦りがつきまとう。


そこに、「似たようなのがもっと安く売ってる。それで十分だ。あなたの作っているものは、器用な人になら誰にでも作れる」っていうメッセージ。

そりゃもう、ショックよね。

もう一人の私のことば。本当は、私のことばだった。


いろいろやってみたから分かるけど、「器用な人なら誰でも出来るか」って訊かれれば、「うん、そうだね」が正解。

ちなみに、彫金だってそう。

織物も。糸紡ぎも。

根気があって、習えば、誰かと似たようなものは出来ると思うよ。

独学の人もたくさんいるし。

私がキットを組んで刺繍ジュエリーのワークショップをやったら、まあまあ同じものが出来るんじゃないかな。

意地悪な言い方をすると、「友人」が作っていたものも、ある意味、誰にでも出来ると思うよ。

ごめんね、話の流れ上、意地悪言って。


扱う技術に優劣は無いの。

油絵は高尚でクレパスはダメな素材だ、なんてこと、ないよね。

どちらも手に取れば、誰でも何かを描くことは出来る。

彫金は格が高くて、刺繍は主婦のお遊び?まさか。

どちらも、誰でも身につけて、何かを作れる技術だよ。その気になれば。


でもさ、あなたはこの私にはなれない。

私はその「友人」になれない。友人は私にはなれない。

もっと言うと、今の私は「あのころの私」にすらなれない。

私の作るものを、あなたは作れない。

「友人」は私の作るものを真似することは出来ても、作ることはできない。

私はあのころの私が作ったものを、もう作れない。似たものは出来ても。

手から生まれるってそういうことだ。


この世で唯一無二のあなた。

あなたはあの日、机に向かってせっせと創作してた。

その日まであなただけの経験をして、生きてきたあなた。

その日の気温。湿度。

その日のあなたのコンディション。情熱。あるいは冷静。

その時間は、二度とない。

そのとき創作したものは、二度と生まれない。

その人の手から生まれるってそういうこと。


それと似たものがもっと安く売ってたと言うなら、そう思う人はそう思えばいい。

あなたはその世界にとどまり続ける。

優劣があって、自分自身は存在しない世界に。

価格があって、価値はない世界に。

あなたの作ったものは、どこにも無い。

作っても作っても、似たようなものが地球上に溢れていてあなたの作ったものは埋もれて見えなくなってしまう。

あなたはその中で不安で居ても立ってもいられない。

あなたとあなたの作品はどこに行ってしまったんだろう。


あ~、こわいですねえ。

本当に、こういうのって心のなかにあるんだよねえ。こわいこわい。


こわいついでに告白するとさあ、私ね、オートクチュール刺繍を習い始めたとき、こういう気持ちがたくさんあったと思うのよ。

他の人にはできない、特殊な技術を習って格を上げるんだ!みたいなの。

でもさ、教室行ったら、先生たちのセンスと技術と行動力に圧倒されるじゃない、当然。

すごい世界だもの。

で、みんな、横並びで同じ課題をこなして、同じ技術を身に着けるわけでしょ。

私だけ特別すごいものになろうなんて、本当にお馬鹿さんの考えだったよね。

しかも習ってるあいだは安心しちゃうんだよねえ、「今、習ってるところですから!」って。

お勉強してることに満足しちゃう。

おいおい、習って、どうしたいのかが大事だろ?って突っ込みたくなるけど、ま、その当時の私はまだヤワでデリケートだったからね、そっとしておいてあげたいよね。


だからきっと、オートクチュール刺繍でオリジナルの作品を創るまでは長かったんだと思う。

技術の問題じゃない、私のなかの問題が片付いてなかったから。

創作に向き合わず、何か「すごいこと」をやろうとしてた。


あ、言っておくけど、そればかりじゃないよ、もちろん。

手を動かすことはやっぱり楽しいし、先生たちのクリエーションにおののいたり酔ったり、自分も自分の手で創作したいって純粋な気持ちはいつもあったよ。

ワクワクしてさ。

ただ、まあ、余計な邪念もついてたってだけで・・・。


その点、機織りは、なんの動機もなく降ってわいたようにやりたくなってやった分、よこしまな気持ちが無くて良かったな。

前にも書いたけど、ただただ楽しくて。

創作ってこういうことだよな~と、溢れる泉をまた見つけたようだった。


織物と織物の先生、教室の先輩方に出会ったのは、迷える子羊の私を、神様が「このくらいしないとこの人、原点に帰れないわ」って、なんか強制的に連れて行ってくれたのかもな。

だって本当にいきなりの衝動だったからな。


そうやって家でオートクチュール刺繍も織物も糸紡ぎも、ただ創作に向き合える時間を取り戻して、これからまた作家として販売する道を模索しようというこのタイミングで。

私は、昨日のブログを書いた。いかんとも出来ないモヤモヤした問題として。


多分、この一件を未消化のままで活動を再開してはならんというお告げだったんだろう。

今のうちに解決しておけ、っていう。

でなきゃどの技術で何を作っても、同じことの繰り返しだもんな。


はい、そういうわけで、解決しました。

え?昨日から、そんなこと分かってたって?

そうだよね、人から言われて気になることは自分の抱える問題ってのは、セオリーだわね。

でも私は、そこから目をそらしたかったんだよ。

それにこんなこと、人に知られたくなかったよ。書いちまったじゃないか。どうするんだ。


サラリーマンでも自営業でも、作家でも、自分の道を生きてくって時に大変なもの。

とくにアート関係は、自分がどうあり続けるかで、立っていられるかどうかが問われる。

無事に立ったままで大好きな創作を続けたいと思ったら、

誰かと自分を比較せず、優劣にとらわれず、自分の道を進む精神力を強化する必要がある。

技術だけでもだめ、マインドだけでも足りない。

その両方を、自分から貪欲に高めていかないと。


そのために、時に見つけたくなかった「チンケな自分」を見つけて笑ったり、それが黒幕だったことにいささかガッカリしたり(自分の黒幕だったらなんかもっとカッコイイものがいいよな)、それをわざわざ公表してみたり、そんな方法だって使うのだ。


え~、実は、この黒幕を私に教えてくれたのは、私の友達です、はい。

私が昨日記事を書いて、今日、自分で答えを見つけたのではない。

私の友達が記事を読んで、明るく指摘してくれて、あ~、言われちゃったよ、分かってはいたんだけどって私もやっと向き合う気になって、こうして整理して文章にした。

おそろしい友達だ。こんな友達がいて良かった。

おかげで、活動再開に向けて重しをひとつ、取り除いたよ。けっこう重大な重しだったよ。

その友達もまたアーティストだからこそ、私の気持ちをよく分かってくれたんだ。

ありがとう。嬉しいよ。すっきりした。記念日だな。何月何日かは、すぐ忘れちゃうだろうけど。


お、そうこうしているうちに夕方になっちゃった。ちょっと機織りして、ご飯作ろう。

今日の夕方の空、なんかすごかったよ。


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